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オーバルのルースセットアップ

オフィシャルフォーラムのこのスレッドで、「ルースなセットアップが何で速いの?」という質問があり、これについてiRacingオーバル界のヒーロー2人、David Holak氏(2008年8月からiRacingに参加、実生活でもオーバルレースに参戦しiRacingでの勝率は5割を超える!)とMark A Carpenter氏(あらゆるカテゴリでStable&Fastなセットアップを提供し続けるセットアップビルダー)が興味深い回答をしていたのでここに載せたいと思う。
なお、言い回しが微妙に難しいところはバッサリ省略しているので、正確な情報が知りたい方は原文を参照してください。
David Holak氏

とてもいい質問だね。セットアップについて勉強をし始めた人は特に疑問に感じるところだと思う。


ルースなセットアップというのは、荷重を左側・左フロントに寄せるってことだ。オーバルではこれが特に重要で、左フロントに荷重を寄せることで左コーナーを速く走ることができ、そのために車体を可能な限りルースにする。


でもバランスも大事で、ルースかつタイヤを酷使し過ぎないポイントを探る必要がある。アグレッシブな走りでルースな挙動に頼り過ぎると、右リアはグリップしなくなるしクラッシュしてしまったりで良い結果には繋がらない。


バランスを探る前に重要なことは、まずは”やや”ルースな車でスムーズな走りが確実にできるようになることだ。Advanced Setupで練習しまくって、それからセットアップ作業に移るべきだね。速いセットアップは速く走れるドライバーにとって意味がある。車はセットアップで速く走るんじゃなくて、ドライバーが速く走らせるんだ。


ターンに入ってからターンを抜けるまでの間に車体は右へロールしようとするけど、なるべく荷重が左に乗った状態をキープしよう。右、特に右フロントに荷重が移ると車はタイトになる。


全てのターンを常に完璧に走るのは難しい。でも可能な限り安定した走行を続け、ライバルがルースになり過ぎたりタイトになり過ぎる機会を伺おう。


君が出来ることは、君のベストを尽くすということだけだ。練習を重ねて良いセットアップを作ろう。自信が付いたらレースに参加し、そこで何が起きたのかメモを取ろう。ターンでの挙動はどうだったか、トラフィックの中ではどうだったか、など。そしてまたテストと練習を重ねて次のレースに挑戦しよう。

Mark A Carpenter氏

クラスDになって気づいたのは、自分のレベルに合ってない超ルースなセットで走ってるドライバーが多いってことだ。フォーラムに投稿されてるセットも俺にとってはすごいルースだった。


そこで俺は、ルースでもタイトでもなく、スピンせずに完走できるセットアップを作り始めた。速い人にとってはタイトで遅いセットアップだろうけど、当時の俺の腕にマッチしてたし、超ルースなセットで走るよりも”速かった”。


ドライバー(かつクルーチーフ)としての腕が上がるにつれ、作るセットアップはルースになっていき、タイムも上がっていったよ。


ルースなセットを使うようになったのと同時に、いわゆる”尖った”セットも試すようになった。そのセットは針の穴に糸を通すような正確なドライビングが求められたけど、タイムはかなり上がったね。ドライビングの難しさを例えるなら、バイクでバランスを取りながら走ってるような感覚だ。


限界を求めているのでなければ、4輪できっちり走ろう。滑らせ過ぎたりラインが悪くてスピンをすることはあるかもしれないけど、安全にこしたことはないね。俺が昔作った安定志向のセットは速いわけじゃないけど、十分なラップタイムは出る。そのセットで何人か、彼らのDivisionでチャンピオンになった人もいるぜ。


安定して走れるか・スピンするかの間の、ごく狭い範囲に限界点はある。例えるならティッシュペーパーをさらに薄くスライスするぐらい難しい作業だ。俺もよくスピンしてたし、上手く限界をキープできるようになるには時間がかかった。


今では大抵のターンで限界を把握できてるつもりだけど、たまにはミスするね。車にもよるけど、Late Modelならスピンすることは無いかな。それでも右リアを酷使し過ぎたり、カウンターが必要になることもあるし、クラスAのImpalaならスピンも有り得る。


セットについて考える時、まずは自分の限界がどこかを考えよう。図で説明するよ。< はタイト。車はプッシュ気味。
> はルース。スピン直前。
= はニュートラル。プッシュでもないしスピンもしない。

 は限界点。

[と]で囲んでるのがそのセットアップが示す挙動の範囲。


クラスAのImpalaのHall of Fameのセットアップは超タイトだから、こんな感じ。
[<<<<<]


俺がこの車の”Easy to Drive”のセットアップを作ろうとしたとき、限界に近いけどスピンはしない、というセットを作りたかったんだけど(イメージとしては[<<==|])、ドライバーと走行ラインに依存するのでもっと安全にするため最終的にはこうなった。
[<<<<=]
この場合、全体的にはタイトだけど、ちゃんとスピードに乗せればニュートラルで速く走れる。


これはもうちょっと速いセット(俺が今目指してるのはこれ)、
[<==>|]
コーナーやラインによってはタイトかもしれないけど、限界付近を、ある程度スピンの心配なく走ることができる。プロはもっと尖ったセットを使うだろうけど、これぐらいが大抵のドライバーにはマッチすると思う。


プロのセットはこんな感じじゃないかな。
[=|>>>]
このセットは初心者にはかなり難しい。車は簡単に曲がろうとするし息つく暇もない(プロは息しない)。


簡単に言うとこんな感じだけど、参考になれば幸いだね。

2人とも「なぜルースなセットアップか?」という質問に対しての直接的な回答ではないものの、練習の大切さ、ドライバーのレベルに見合ったセットの必要性、ルースかつ速いセットがいかに難しいかを述べている。
頭ではわかってたものの、名ドライバー2人に言われるとあらためて身にしみますね。

ちなみに、このiRacingの”ルース最速論”についてはLCQCのイベント関連スレッドでも興味深い話があった。これについてはまた別の機会に。